『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)
作者:前野ウルド浩太郎
出版社:光文社
発売日:2017-05-17
この本は、昆虫学者である著者が、あるバッタの研究のため、
アフリカのモーリタニアに滞在した時の体験記です。
それをなぜ「電車で読んではいけない」のか?
例えば、本の裏表紙はこんな風になっています。

「ラン ランララ ランラン ラン」
「やはり蟲に取り憑かれていたか・・・って、この人昆虫学者か」
など見た瞬間に心の中で突っ込みましたが、本編にもこのようなトラップが
随所に仕込まれているので、心を鉄仮面にして読むか、家で1人で読むのをお勧めします。
さて、本書の見所は、現地でフィールドワークをしているからこその
「事件は現場で起きている」体験に尽きるでしょう。
(普通の論文であれば数ページで寝てしまうでしょう。)
研究対象のバッタは、「サバクトビバッタ」と呼ばれており、
大量発生すると農作物を食い荒らして甚大な被害を及ぼします。
関係諸国にとっては死活問題のため、発生したら、街に入る前に殺虫剤で駆除します。
しかし、殺虫剤を散布すると土地や人体に影響がでる諸刃の剣しか武器がない戦争なのです。
したがって、このバッタの生態を研究することは、被害を食い止めるための防除技術の鍵となる、
国際的に極めて重要な活動なのです。
そのために単身で乗り込んでいくわけですが、当然スムーズにいくはずがありません。
著者はフランス語(モーリタニアは旧フランス領)が出来ません。
案の定、まず入国でいちゃもんをつけられ、賄賂を払わなかったため、
ビールなどの楽しみを没収されることから始ります。
その後も、現地スタッフとの意思疎通や砂漠への適応に苦戦したり、サソリに刺されたり、
極め付けは、肝心のバッタが発生せず、活動自体が無駄になる危機など、
ありとあらゆるハプニングを乗り越えてミッションを達成していく、
笑いと感動のノンフィクションです。
やはり”実体験から得た一次情報”は強いし面白いと思わせる一冊です。
*読んでみようかと思われた方へ追加のアドバイス。
本中には、リアリティを出すために、バッタや虫の写真が度々カラーで登場します。
従って、電車内だけでなく、食事中は読むのを避けていただくことをお勧めします。





