低人気を覆せるか?『応仁の乱』

売れているというので『応仁の乱』を読みました。

 

 

 

 

 

 

 

まず、歴史の授業で習っているレベルでの応仁の乱とは、このぐらいのレベルではないでしょうか。
・室町時代に起こった大規模な戦争
・各勢力が東軍と西軍に別れて十数年に渡り戦い続けた
・東軍は細川勝元、西軍は山名宗全がメインである
・この戦争により室町幕府は弱体化し、戦国時代の幕開けの原因となった

同じ東軍と西軍といえば、関ヶ原もそうですが、それに比べて応仁の乱はほとんど
クローズアップされず、地味で人気のない存在でしょう。

この時代を描いたNHK大河ドラマに「花の乱」がありますが、
「平清盛」に抜かれるまで、最低視聴率記録を持っていたそうです。。。

これほど人気のない応仁の乱、読了後にどのくらい認識が変わるのかと読んでみた結果

・・・

「これでは人気が出ないのも仕方ないな」でした。

その理由として、大きく4つあると考えます。

①乱の理由に大義もドラマも感じられない

管領家(細川、畠山、斯波)のうち、畠山&斯波両氏の家督争いに端を発し、
それに乗じて他者が色々策を講じて幕府の主導権を取ろうとした結果、泥沼にハマったという構図です。

元々が名家同士の争いですから、下克上のような成り上がりのドラマやもなく、
かといって三國志の様に「黄巾党から民衆を救うぞ!」「荒れた後漢朝を立て直すぞ!」
的な大義もないので、人々の共感を呼ぶストーリーがありません。

②登場人物と人間関係がわかりにくい

この時代、特に親の文字を受け継ぐという命名が多いです。
例えば斯波氏で家督争いをしたのは「斯波義廉」と「斯波義敏」です。
最初に読むとどっちがどっち?状態になります。しかも読み方がわかりにくい。

さらに、同じ一族同士で東軍と西軍に別れているので、読み手としては混乱の極みです。

この混乱に拍車をかけるのが、立場がコロコロ変わる点。
例えば、ABは対立していて、最初将軍がAを支持したかと思ったら、
後にBを庇ったりします。当然Aはその処遇に不満を持って敵になるといった具合です。

③リーダー、英雄不在

東軍の代表的人物は細川勝元、西軍は山名宗全ですが、元々二人は仲が悪いわけではなく、
幕府の実力者として盟友の間柄だったというのです。
それが前述の通り、畠山と斯波の騒動を利用して両氏を弱体化しようとした結果、泥沼にハマったというのが実情です。
そのためか、乱の後半には両氏主導で停戦しますが、諸将の説得が十分でなく、
停戦に納得いかない人たち同士が、その後も戦争を続ける事態に陥いります。
細川勝元も山名宗全も凡庸ではなく一角の人物ですが、英雄として扱われない理由はそこにありそうです。

さらに、幕府のリーダーである8代将軍・足利義政は、場当たり的な判断で、
相手を糾弾したり恩赦したり、さらには自身の後継相続問題を引き起こすなど、
火に油を注ぐことをしています。

④十数年も戦った挙句、和睦後もダラダラ戦い続けるグダグダ感

西軍の補給路が確保できなくなり、和睦と言いつつ実質は東軍の勝利です。
ところが前述の通り、和睦後も各所で小競り合いを続けてスカッとせず終わるのです。

 

以上の通り、戦国時代や幕末と比較して人気を得ることは到底困難な応仁の乱ですが、
これは我々がどうしても英雄伝を求めているからです。

応仁の乱を味わうには、武家の戦争に焦点を合わせず、「ハウスオブカード」や「半沢直樹」
のように、徹底的に人間同士の政争としてみた方が理解できると思います。

また、組織論の視点で見ると、以下のような教訓も感じます。
・場当たり的、近視眼的な対応だけでは、中長期的に悪い結果をもたらすことがある。
・施策は有効なタイミングがあり、それを外すと良い施策でも機能しない
(ほとんどが手遅れのケース)

乱の勃発の背景から、当事者以外の各勢力の動きまで丁寧に説明されていますので、
手放さずに保存版にしようと思います。

新書レベルではない濃さですが、興味を持たれた方はご一読をお勧めします。